一般社団法人 カギの110番・カギの救急車

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【女性のための防犯マニュアル】元カレや不審者があなたの鍵(鍵番号・キーナンバー)を狙っている!巧妙な手口と身を守るための完全対策を鍵屋さんが解説

鍵を盗み見て合鍵作製か 同僚女性宅で窃盗疑い、27歳逮捕(2025/6/17 毎日新聞)

同僚宅の合鍵つくり繰り返し侵入か、逮捕の男「LINE無視された」(2025/6/18朝日新聞)

  

 「ただいま」と自宅のドアを開けた瞬間、何か違和感を覚える。「物が少し動いている気がする…」「誰かに入られた…?」そんな背筋が凍る、ドラマのようなことが身近に起きています。

 特に女性を狙ったストーカーや侵入犯罪では、犯人が不正に入手した「合鍵」を使い、何の痕跡も残さず部屋に出入りしているケースが後を絶ちません。信頼していた元恋人や、見知らぬ誰かが、あなたの知らないところで勝手に合鍵を作っていたとしたら…。

 この記事では、あなたの安全な毎日を守るための防犯マニュアルです。合鍵が悪用される巧妙な手口を知り、今日からできる具体的な対策で、あなた自身の身とプライバシーを断固として守りましょう。

なぜ?他人があなたの合鍵を無断で複製する恐ろしい動機

 犯人が合鍵を無断で複製する動機は、単なる金品目的だけではありません。女性が被害に遭う場合、より悪質で執拗なケースが多く見られます。

  • ストーカー行為・支配欲: 元恋人や一方的に好意を寄せる知人が、あなたの行動を監視したり、部屋の物を動かして精神的に追い詰めたりする目的で合鍵を悪用します。「まだ繋がっている」という歪んだ支配欲を満たすために行われる、最も警戒すべきケースです。
  • 窃盗・盗撮・盗聴: あなたの留守中に侵入し、金品だけでなく下着を盗んだり、部屋に盗撮・盗聴器を仕掛けたりします。プライバシーを根こそぎ奪う、極めて悪質な犯罪です。
  • 性犯罪目的: 在宅中を狙って侵入するなど、より凶悪な犯罪の準備段階として合鍵が使われる危険性もあります。

【要注意】巧妙化する合鍵の無断複製の手口

 「鍵を直接盗まれない限り大丈夫」と思っていませんか?その考えは非常に危険です。現代の合鍵複製手口は、あなたが気づかないうちに行われます。

手口1:鍵番号(キーナンバー)の盗み見

 最も警戒すべき手口です。鍵本体には「鍵番号(キーナンバー)」と呼ばれる固有の番号が刻印されています。犯人は、あなたが鍵を置いた一瞬の隙に、この番号を盗み見したり、スマートフォンで撮影したりします。
この鍵番号さえあれば、インターネットの合鍵作成サービスなどで、実物の鍵が手元になくても合鍵を注文できてしまうのです。

手口2:鍵の直接撮影

 カフェのテーブルや職場のデスクに無造備に鍵を置いていませんか?現在のスマートフォンのカメラは非常に高画質です。犯人はその一瞬を狙って鍵の写真を撮影します。その写真データをもとに、専門の業者に依頼して合鍵が作られることがあります。

手口3:SNSからの情報漏洩

 意外な盲点がSNSです。自宅で撮影した写真や、キーホルダーの写真を投稿した際に、鍵そのものや鍵番号が写り込んでしまうケースです。不特定多数の人が見るSNSに鍵の情報を晒すのは、自宅のドアを全開にしているのと同じくらい危険な行為です。

自分の身を守る!今日からできる合鍵無断複製への徹底対策

 恐ろしい手口を知った上で、次は具体的な対策方法を実践しましょう。複数の対策を組み合わせることで、防犯効果は飛躍的に高まります。

対策1:合鍵の作成と管理でリスクを根本から断つ

合鍵を正しく活用することは、非常に有効な防犯対策になります。

  • 【最重要】普段使いは「鍵番号のない合鍵(複製キー)」にする
    街の鍵屋さんなどで作る合鍵(複製キー)には、通常、鍵番号が刻印されていません。
    これを利用し、普段持ち歩く鍵を「鍵番号のない合鍵」にしましょう。
    そして、鍵番号が刻印されたオリジナルの鍵(純正キー)は、自宅など安全な場所に大切に保管しておきます。こうすることで、万が一外出先で鍵を見られても、番号を盗まれるという最大のリスクを回避できます。手軽ながら非常に効果的な対策です。
    ※ただし、合鍵の精度によっては鍵や鍵穴を傷める可能性もあるため、信頼できる業者で作成してください。
  • 合鍵を渡す相手は慎重に選ぶ
    家族や恋人に合鍵を渡す際は、その合鍵がトラブルの原因になりうることを忘れないでください。「絶対に他人には貸さない」「紛失したらすぐに報告する」など明確なルールを共有しましょう。
  • 関係性が変わったら必ず回収する
    恋人との別れ、同居人の退去など、関係性が変わった場合は、必ず合鍵を返却してもらいます。少しでも不安が残る、または回収できない場合は、迷わず鍵交換するのが最も安全な対策です。

対策2:鍵の管理を徹底する【基本中の基本】

  • 鍵を人目に触れさせない: カフェや職場のデスクなど、人目につく場所に鍵を置かないようにしましょう。必ずカバンやポケットの中にしまいます。
  • 鍵番号を隠す: 最も効果的な対策の一つです。市販の「キーカバー」や「キーキャップ」を装着し、鍵番号を物理的に隠しましょう。これだけで「鍵番号の盗み見」リスクを大幅に減らせます。
  • 安易に鍵を貸さない: どれだけ信頼している相手でも、鍵を安易に貸し借りするのはやめましょう。
  • SNSに注意: 鍵が写り込んだ写真を絶対に投稿しないように注意してください。

対策3:防犯性の高い鍵に交換する

 現在お使いの鍵が、ギザギザした一般的な形状(刻みキー)の場合、複製が比較的容易です。より安全な鍵への交換を検討しましょう。

  • ディンプルキー: 表面に大きさの異なる複数のくぼみ(ディンプル)がある鍵です。構造が非常に複雑で、ピッキングに強く、複製も困難です。多くはメーカー登録制で、身分証明書がないと合鍵が作れないため、無断複製の防止に絶大な効果があります。
  • 電子錠・スマートロック: 物理的な鍵穴がなく、暗証番号やカードキー、スマートフォンで施錠・解錠します。鍵の紛失・盗難リスクがなく、無断複製の心配もありません。万が一の場合も、暗証番号の変更やカードキーの登録を削除すれば、すぐに対処できます。

対策3:引っ越し・入居時の鉄則

  • 必ず鍵を交換する: 中古物件や賃貸物件に入居する際は、必ず鍵を交換しましょう。前の入居者や関係者が合鍵を持っている可能性を断ち切るためです。賃貸の場合は、まず大家さんや管理会社に許可を得てから交換手続きを進めてください。

対策4:補助的な防犯対策をプラスする

  • 補助錠(ワンドア・ツーロック)を取り付ける: 玄関ドアにもう一つ鍵を取り付けましょう。侵入に時間がかかるため、犯人が諦める可能性が高くなります。
  • 防犯カメラを設置する: 玄関先に設置することで、不審者を威嚇し、万が一の際の証拠映像を記録できます。

もし「合鍵を作られたかも?」と感じたら…すぐに行うべきこと

 少しでも不安を感じたら、決して一人で抱え込まないでください。「気のせいかも」と我慢するのは最も危険です。

  1. すぐに鍵を交換する: これが最も確実で即効性のある対策です。すぐに信頼できる鍵屋に連絡し、鍵交換しましょう。
  2. 警察に相談する: 身の危険を感じたら、迷わず110番。ストーカーの気配など、緊急性はないけれど不安な場合は、警察相談専用電話「#9110」に電話してください。専門の相談員が対応してくれます。
  3. 専門機関を頼る: 配偶者暴力相談支援センターや、各自治体の女性相談窓口など、警察以外にも相談できる場所はあります。

何よりも大切なのは、「あなたのせいではない」ということです。

まとめ

 女性の安全な暮らしは、少しの知識と対策で守ることができます。

  • 普段使いは「鍵番号のない合鍵(複製キー)」で、オリジナルキーは自宅保管
  • 恋人と別れたら、感傷に浸る前にまず「鍵交換」
  • 防犯性の高い鍵を選び、物理的な安心を手に入れる

「自分だけは大丈夫」という油断を捨て、今日からできる対策を実践してください。あなたの賢明な選択が、未来の平穏な毎日を守る一番の鍵となるのです。